「監査要求」と「訴訟」にさらされるライセンス違反リスク・・・。専門ノウハウ/人的リソース不足の中、ソフトウェア利用実態を“正確に把握”するには? 電子機器製造業N社(従業員数:550名)
背景
多額の賠償請求だけでなく社会的信用の失墜にも直結する、企業・組織における「ソフトウェアライセンスの不正利用」。近年、違法コピーにおける和解金は高額化する傾向にあり、2011年には、3月に関東の不動産・建設業者が約1億4,000万円を支払ったほか、9月に東京のコンピュータソフトウェア会社が世界最高額となる4億4,000万円を支払っている。ソフトウェア権利保護団体・ビジネスソフトウェアアライアンス(BSA)によると、日本における違法コピー率は世界一低いものの、和解金を除いた損害額では依然としてワースト10に入るという(1,431億円/2010年)。
これらケースの多くは、膨大なソフトウェアの管理が追い付かないことで社内の不正を招いたものである。ソフトウェア権利保護団体や監査団体には、毎年数百件にのぼる通報が寄せられるというが、いまこそ“突然の監査依頼”にも十分耐えられる、万全のライセンス管理体制が強く求められている・・・。
課題・問題
「内部統制強化・監査対策」から3,000本のライセンス管理が急務に。しかし現状は・・・
オフィス向け複合機をはじめ事務機器、光学機器などの製造・販売を手掛けるN社。同社IT戦略本部では、このほど社内のPC約600台にインストールされたソフトウェアを対象に、「内部統制強化と法令遵守の徹底」、および「ソフトウェア権利保護団体の抜き打ち監査や内部告発対策」を目的として、違法コピー防止に向けたライセンス管理の強化を検討していました。
しかし、同社の現状は、情報システム担当者(3名)が毎月手作業で、PCへのソフトウェアインストール情報を元に、Excelを使用して管理台帳を更新している状況。集中購買のOfficeライセンスは比較的管理が行き届いている一方、設計や開発で使用されるCADソフトなど、専門性の高いソフトウェアの購入は各部門に任せっきりで、ほとんど把握すらできていませんでした。
同社IT戦略本部情報システム課のK課長はこう語ります。
「全社で保有または利用しているソフトウェアは、ざっと見積もっただけで3,000本余り。正確に把握できていない現状を考えると、もっと保有しているかもしれません。当社では数年来、ソフトウェア権利保護団体との訴訟を抱えており、実効性ある管理体制の構築は火急の課題でしたが、少人数の属人的な管理ではリソースが追いつかず、とうてい無理と言わざるを得ませんでした」
正確なライセンス管理を阻む複雑な「利用約款」。数千通りの突合は事実上不可能・・・
同社のソフトウェアライセンス管理における最大の壁となっていたのが、膨大な保有ソフトウェア本数に加えて、その複雑なライセンス体系でした。
厳密な管理を行うためには、まず「保有しているライセンス」と、「実際の使用状況」を正確に把握する必要があります。しかし、ダウングレード/アップグレードや、セカンドライセンスなど、契約プログラムはソフトウェアメーカーごとに異なる上、同じメーカーでも製品の種類によってバラバラです。こうした状況が突合作業を困難なものとしていたのです。
「複雑かつ膨大な量に上る利用約款を読み解くには専門的な知識が必要ですが、社内にはマンパワーとともにこうしたノウハウもないのが現状でした。わずか3名でライセンスポリシを把握し、数千通りにもおよぶ突合を正確に実施するのはほぼ不可能。ライセンス管理は破綻していました」(前出K氏)
課題・問題のポイント
ソフトウェアライセンス管理を強化したいが、Excelベースの管理では人的リソースが足りず利用実態を正確に把握できていない
メーカー/製品ごとに異なる複雑なライセンス体系に加え、利用約款への専門ノウハウがなく、突合作業の障壁に
数年来ソフトウェア権利保護団体との訴訟を続けており、ライセンス管理の徹底による「内部統制強化・監査対策」は火急の課題